歯科医師トレーニングブログ

日々のトレーニングについて徒然していく

今朝の私に起こった話

皆さんこんにちは

 

福岡は小雨

湿気も強く嫌な天候ですね

どうも歯科医師トレーニーです

 

 

通学のためにホームで電車を待っている時、腹に違和感を感じる。

気のせいだろう、いや、私の経験上気にしない方が後々影響が少なくなる、と自分に言い聞かせた。雨に濡れて美しく輝く電車がホームに滑り込んできた。嫌な予感はしつつも電車に乗り込んだ。座席に着くもコロナの影響もあり、隣に座ってくる乗客はなく、快適であった。

リュックを膝の上に乗せ腹をクーラーの風邪から守る形にした。私の経験上、先ほど感じた違和感に対して僅かながら効果があるのだ。そして、カバンから小説を出し、その世界に入り込んでいく、これが私の毎朝の楽しみでもある。

しかし、今朝は違った。

最初はさざ波程度だった。その波は小さいながら力強くもあったが、小説の世界から私を現実の世界に引き戻すまでの強さはまだなかった。こういう場合は2択であることを私は知っている。さながら南国のビーチのようにさざ波が続くパターンか、津波のように大きな大きな波が絶え間なく襲ってくるパターンか。

今朝は後者だった。

徐々に波は強くなり、また、その感覚も短くなってくる。この辺りで小説の世界は私を繋ぎ止めておくことが難しくなり、現実世界へと徐々に引き戻される感覚が私を襲う。

そして乗車して20分過ぎた頃その時はきた。

気にしないようにしていたが、ついに便意アラートが発動されたのであった。

便意アラートが発動されたことにより、私の体温はみるみる上昇し頬も赤くライトアップされ、また、肛門の規制も強くなり、腸も活発となる。自律神経に抗おうとしても、それはもはや意思でどうこうなる問題ではない。必死で腸に自粛も求めるも、活動制限をかけることはできず、最後の砦である肛門も規制が緩み始める。この時すでに小説の内容は頭に入ってこず、ただ文章を目で追いかけているだけになっていた。

ついに津波の感覚が数分おきになり、違和感が危機感となり始めた時、神の一声が聞こえる。

「まもなく終点でございます」

そう、私が降りる駅にたどり着いたのであった。可能ならばドアが開いた瞬間駆け出したい気持ちだったが、通常の乗客を装う程度の冷静さは持ち合わせていた。しかし、実は背中と脇と尻の割れ目には大量の汗をかいていることを誰も知らない。

電車から多くの乗客が吐き出され、一斉にエスカレーターへと集中していく。この段階で、まず駅内のトイレまでの最短距離を計算する。どの改札から出て、どちらに曲がるか。駅の地図は頭に入っているのだ。

ただし、私は知っている。

朝の駅内のトイレはほぼ間違いなく閉ざされており、私のような平民には使う権利がないということを。

そして、私の経験が囁く。少し先のコンビニへ行け、と。

私は迷うことなく自己の経験を信じた。降り注ぐ小雨。道路にできている水溜り。明るく響き渡る女学生の声。通常ならば気にもならない小さな情景がこの時ばかりはなぜか強烈に記憶される。

小走りでコンビニへと向かう私は一心不乱に足を動かした。

肛門の規制はすでに形骸化し、津波はもはや波ではなくなっていた。そう、私はもう溺れているようなものだった。便意という名の大海に。コンビニまでは小走りで約6分。息もうまくできず薄れゆく意識の中、その6分間で2つ考え事をしていたことを覚えている。

1つは、もしこのまま肛門の規制が全面解除となり、内容物が一斉に放出された場合どう行動するか。幸い人通りも少ないため、社会的地位を失うような状況は避けることができる可能性は高い。下着は売っているだろうか、ズボンはどうするか、ティッシュはカバンに入れていただろうか。その答えを見つけることは当時の私にはできなかった。

もう1つは遠くにかすれて見えるコンビニの駐車場から導き出されるトイレ状況分析である。駐車場には3台車がある。2台は乗用車だが、1台はタクシー。私の経験上、タクシーは危険である。タクシーがコンビニに駐車する理由第一位は、トイレの使用だからである。ちなみに第二位は喫煙。案の定、喫煙所には運転手の姿は見えない、かつ、トイレの前には立ち読みをしている社会人が見られる。もう会社が始まるであろう時間に立ち読みをしている社会人。店内にも見当たらないタクシー運転手。この状況から、トイレを使用する運転手、それを待つ社会人、という構図が一瞬で理解できた。

最悪だ。私はコンビニの10歩手前で全てを理解し絶望した。

回れ右をして駅に戻るか。近くのホテルに駆け込むか。別の遠いコンビニに向かうか。

瞬時に他の手を考えてみるも、私の腸、肛門に考えている余裕は一遍もなかった。ええぃままよ!最悪女子トイレにでも突っ込んでやる!とそのままコンビニに勇み駆け込む。持っている傘を入り口の傘立てに置く余裕はない。

頼む、空いていてくれ、私の憶測を裏切ってくれ。

と、口に出るほど強く強く願った。

自動ドアを通り、コンビニの冷えた空気を感じる。湿度の高い外気から冷房の効いたコンビニに入った時の爽快感は好きだが、この時ばかりは寒く不快であった。立ち読みする社会人の後を通り過ぎ、距離でいうとトイレまであと3歩のところで奇跡は起きた。

なんと、タクシーの運転手が清々しい顔でトイレから出てきたのだ!

あなたは神の化身ですか?私は神の祝福を受けたような感覚に襲われる。

そして、開いたトイレのドアから漏れる光はまるで神と天使がこの地に舞い降りたかのように見えた。さながら、薄明光線、天使の階段とでも言おうか。

躊躇することなく神の化身と入れ違いに中に入り、天使の輪っかに座り、ついに私は救われたのであった。神も仏も信じていない私だが、この時ばかりは「神様、ありがとう」と呟いた。

あぁ、間に合ってよかった。

そして約40分の長い戦いについに終止符が打たれたのであった。

 

(終わり)

 

皆さんも急な襲来にはお気をつけください!

それでは!!